まだ20代、30代なのに、ほてりや汗が急に出る。理由もなく気分が落ち込む。生理の周期がばらばらになってきた——。「更年期は40代からのもの」と思っていたのに、自分にも似たような不調が起きていて、戸惑っている方は少なくありません。
インターネットで調べると「若年性更年期」という言葉が出てきて、余計に不安になってしまうこともあると思います。仕事や子育てで忙しい時期でもあり、「気のせいかもしれない」「疲れているだけ」と、ついそのままにしてしまいがちです。
この記事では、若い世代で起こる更年期に似た不調について、いま一般的に言われていることをやさしく整理します。あわせて、自分の状態を記録して整理するコツと、医療機関に相談する目安もお伝えします。読み終えたときに「ひとりで抱えなくていいんだ」と少し肩の力が抜けたら嬉しいです。
🌸 更年期のゆらぎを、医師に見せられる1枚に「ゆらぎとわたし」
ほてり・気分の落ち込み・生理の乱れがあった日をワンタップで記録。SMIスコアと気圧予報とあわせて、不調の波が見えてきます。記録・セルフチェック・気圧予報はすべて無料。
「若年性更年期」とは? 医学的な言葉ではないことを知っておく

まず知っておきたいのは、「若年性更年期(若年性更年期障害)」は、正式な医学用語ではないということです。20代・30代で更年期に似た不調が出たときに、雑誌やインターネットで便宜的に使われるようになった言い方だと考えられています。
本来の「更年期」は、閉経をはさんだ前後およそ10年間を指す言葉です。日本人女性の閉経の平均は50歳前後とされているため、更年期はおおむね45〜55歳ごろにあたります。この時期については、更年期はいつからいつまで続くのかをまとめた記事でくわしく解説しています。
言葉の使われ方が2通りある
「若年性更年期」という言葉は、実際には次の2つの状況が混ざって使われていることが多いようです。
- ①医学的に卵巣の働きが早く低下している状態……40歳未満で月経が止まってしまうケース。医学的には「早発卵巣不全(POI)」と呼ばれます。
- ②卵巣の働きは保たれているが、更年期に似た不調が出ている状態……ストレス、睡眠不足、極端なダイエット、過度な運動などをきっかけに、自律神経やホルモンのリズムが一時的に乱れているケース。
この2つは背景がまったく違うため、対応の仕方も変わってきます。「若年性更年期かもしれない」と自分で決めつけてしまうより、まずは体の状態を客観的に確かめることのほうが大切だと考えられています。
早発卵巣不全(POI)について
早発卵巣不全(POI:Premature Ovarian Insufficiency)は、40歳未満で卵巣の働きが低下し、月経が止まってしまう状態を指します。日本産婦人科医会の解説によると、自然に起こるPOIは40歳未満でおよそ1%、30歳までではおよそ0.1%程度とされています(出典:日本産婦人科医会「(2)早発卵巣不全(POI)」)。
原因は、はっきりわからない特発性のものが最も多いとされ、そのほか染色体や遺伝に関わるもの、自己免疫が関わるもの、がん治療にともなう化学療法や放射線治療の影響などが挙げられています。生活習慣が悪かったから、といった「本人のせい」で起こるものではありません。
診断は、40歳未満で月経が半年ほど止まっている状態に加えて、血液検査でホルモンの数値を確認することで行われるとされています。自己判断はできないため、月経が長く止まっている場合は、早めに婦人科へ相談することがすすめられています。
20代・30代で更年期に似た不調が起こる背景
卵巣の働きそのものに問題がなくても、更年期に似た不調が出ることはあります。ここでは、よく指摘されている背景を整理します。あくまで一般的に言われていることで、あてはまるかどうかは人によって異なります。
ストレスと自律神経のゆらぎ
女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部・下垂体という司令塔からの指令で調整されています。この視床下部は自律神経の中枢でもあるため、強いストレスや緊張が続くと、ホルモンのリズムと自律神経の両方が影響を受けやすいと考えられています。
ほてり、動悸、汗、めまい、寝つきの悪さといった症状は、更年期の不調とも自律神経の乱れとも重なる部分が大きく、症状だけで区別するのは難しいのが実情です。
極端なダイエット・体重の急な減少
短期間で体重を大きく減らすと、月経が止まったり周期が乱れたりすることがあると言われています。体が「いまはエネルギーが足りない」と判断して、生殖機能の優先度を下げるためだと考えられています。
睡眠不足・生活リズムの乱れ
夜勤や不規則な生活が続くと、体内時計とホルモンのリズムがずれやすくなります。眠れない日が続くとそれ自体がストレスとなり、悪循環になりやすい点にも注意が必要です。
甲状腺など、ほかの病気が背景にあることも
だるさ、動悸、汗、気分の変化などは、甲状腺の病気や貧血、うつなど、ほかの原因でも起こりえます。「更年期っぽいから更年期だろう」と決めてしまうと、必要な治療の機会を逃してしまうことがあります。これは若い世代でとくに気をつけたい点です。
気づきやすいサインと、そうでないサイン
どんな変化が出たときに「一度みてもらおう」と考えればいいのでしょうか。目安になりやすいサインを整理します。
体に出るサイン
- 顔や上半身が急に熱くなる、汗が噴き出す(ほてり・のぼせ)
- のぼせるのに手足は冷たい
- 動悸、息切れ、めまい、ふらつき
- 頭痛、肩こり、関節のこわばり
- 疲れが抜けない、だるさが続く
- 肌や髪、目や口の乾き
心に出るサイン
- 理由がわからないのにイライラする
- 気分が落ち込む、涙が出やすい
- 集中しづらい、物忘れが増えた気がする
- 何をしても楽しく感じにくい
月経に出るサイン(見落としやすい)
実はいちばん大切な手がかりになりやすいのが月経の変化です。次のような変化は、記録しておくと相談のときに役立ちます。
- 周期が短くなった、または長くなった
- 量が急に増えた、または減った
- 3か月以上まったく来ていない
- 不正出血がある
とくに「月経が3か月以上止まっている」場合は、年齢にかかわらず一度婦人科に相談することがすすめられています。妊娠の可能性がある場合も含め、自己判断で様子を見続けないことが大切です。
今日からできる、体をいたわる工夫

ここで紹介するのは、あくまで生活を整えるための一般的な工夫です。症状を治すためのものではなく、また医療機関での相談に代わるものでもありません。「できそうなものをひとつだけ」でじゅうぶんです。
睡眠のリズムをできる範囲でそろえる
寝る時刻より、起きる時刻をそろえるほうが体内時計は整いやすいと言われています。休日の朝寝坊は2時間以内にとどめる、朝はカーテンを開けて光を浴びる、といった小さな工夫から始めてみてください。
「減らす」より「そろえる」食事
極端な食事制限は月経の乱れにつながることがあるとされています。何かを断つより、朝・昼・晩の食事の時間と量をなるべくそろえるほうが、体にとっては負担が少ないと考えられています。鉄分やたんぱく質が不足しやすい方は、日々の食事のなかで意識してみるのもひとつです。
軽い運動を「気持ちいい範囲」で
激しい運動をがんばるほど良い、というわけではありません。むしろ過度な運動は月経の乱れの一因になることがあると言われています。散歩やストレッチなど、終わったあとに気持ちが少し軽くなるくらいの量が続けやすいでしょう。
ストレスの「置き場所」をつくる
ストレスをなくすことは難しくても、抱えたままにしない工夫はできます。信頼できる人に話す、紙に書き出す、意識して何もしない時間をつくる——どれも立派な対処です。つらさが強いときは、心療内科やカウンセリングという選択肢もあります。
天気の影響も知っておく
気圧が大きく下がる日に、頭痛やだるさが出やすいと感じる方もいます。自分にその傾向があるかどうかは、記録してみないとわからない部分です。気象と不調の関係については、気象病と更年期の不調の見分け方もあわせてご覧ください。
記録して「見える化」すると、話がぐんと伝わりやすくなる

若い世代の不調でいちばんもったいないのは、「うまく説明できなくて、そのまま帰ってきてしまう」ことです。診察の時間は限られていますし、「なんとなくだるくて」だけでは、医師も判断の手がかりを得にくくなります。
記録しておきたい4つのこと
- 月経の記録……開始日と終了日、量の変化、不正出血の有無。これがいちばん重要な情報になりやすいです。
- 症状と、その程度……いつ、どんな症状が、どのくらいの強さで出たか。「強・中・弱」の3段階でもかまいません。
- 生活の状況……睡眠時間、仕事の忙しさ、食事、体重の変化など。
- 飲んでいるもの……薬、サプリメント、ピルなど。種類と飲み始めた時期。
手帳やノートでも、スマホのメモでもかまいません。大切なのは、「あとから振り返れる形で残っていること」です。書き方に迷う方は、更年期の症状記録のつけ方を参考にしてみてください。
2〜3か月分あると、傾向が見えてくる
1日分の記録では、たまたまなのか傾向なのかがわかりません。2〜3か月分たまると、「生理の前に決まって落ち込む」「雨の日にだるさが強い」といった自分だけのパターンが見えてくることがあります。このパターンこそが、診察のときにいちばん役に立つ情報です。
いまの状態を大まかに把握する
「自分の不調はどのくらいの重さなんだろう」と気になる方は、SMI(簡略更年期指数)というセルフチェックの指標を目安にする方法もあります。10項目の症状の程度を自己採点して合計するもので、あくまで自己管理の目安ですが、変化を追うのには向いています。くわしくはSMIによる更年期セルフチェックをご覧ください。
🌸 生理の乱れと体調を、ひとつのカレンダーに|ゆらぎとわたし
「なんとなくつらい」を、あとから見返せる形に。気になる症状をワンタップで記録すると、月経の周期・SMIスコア・気圧予報が同じカレンダーに並びます。2〜3か月分たまるころには、自分だけの不調の波が見えてきて、受診のときにそのまま医師へ見せられる1枚にまとまります。記録・セルフチェック・気圧予報はすべて無料。
40代のプレ更年期との違いを整理する
「若年性更年期」と混同されやすい言葉に「プレ更年期」があります。こちらは30代後半〜40代前半ごろ、更年期に入る手前の時期に感じる不調を指して使われることが多い言い方です。
年齢的に卵巣の働きが少しずつ変化していく時期にあたるため、体の自然な移り変わりとして説明がつきやすいのが特徴です。一方で20代・30代前半の不調は、年齢だけでは説明しにくいぶん、ほかの原因がないかを確かめる必要性が高くなります。
プレ更年期について知りたい方は、プレ更年期とは?30代後半〜40代に出やすい不調のサインにまとめています。
年齢が若いほど「確かめる」意味が大きい
若い世代の場合、更年期に似た不調の背景に別の原因が隠れている可能性が、40代以降より相対的に高いと考えられています。だからこそ「若いから更年期のはずがない」と切り捨てるのも、「若年性更年期だ」と決めつけるのも、どちらも避けたいところです。検査で確かめてはじめて、次にどうすればいいかが見えてきます。
受診の目安と、どこに相談すればいいか

次のような場合は、年齢にかかわらず、早めに医療機関へ相談することがすすめられています。
- 月経が3か月以上止まっている
- 周期の乱れや不正出血が続いている
- ほてり・動悸・強いだるさなどで、仕事や家事に支障が出ている
- 気分の落ち込みが強く、日常生活がつらい
- 短期間で体重が大きく変わった
- 急に強い症状が出た、症状が日ごとに悪くなっている
とくに、つらい症状が続く場合や、急に強い症状が出た場合は、様子を見ずに医療機関に相談してください。
まずは婦人科・レディースクリニックへ
月経の乱れやほてりなど、女性ホルモンに関わりそうな症状であれば、婦人科やレディースクリニックが相談先の候補になります。血液検査でホルモンの状態を調べることができ、必要に応じてほかの科への紹介もしてもらえます。
「何科に行けばいいかわからない」という方は、更年期の不調は病院の何科?相談先の選び方を参考にしてみてください。初診で聞かれることや持ち物については、婦人科の初診で何を聞かれる?にまとめています。
どんな検査があるのか
一般的には、問診のうえで血液検査によりホルモンの数値を確認したり、超音波検査で子宮や卵巣の様子をみたりすることがあるとされています。甲状腺の機能や貧血の有無を調べることもあります。何をどこまで調べるかは症状や状況によって異なるため、気になることは診察のときに遠慮なく質問してみてください。検査の一般的な内容は更年期の検査でわかることでも解説しています。
受診をためらってしまうときに
厚生労働省が2022年に行った意識調査では、更年期の症状を自覚していても医療機関を受診していない女性は、40代で81.7%にのぼると報告されています。年代は異なりますが、「相談していいのかわからない」「大げさかもしれない」とためらう気持ちは、多くの人が抱えているものだとわかります。
若い世代の場合はさらに「更年期なんて言ったら笑われそう」と感じてしまうこともあるかもしれません。けれど、相談は診断名を決めてもらうためだけのものではありません。いまの体の状態を確かめて、これからの選択肢を知るための時間だと考えると、少し行きやすくなるのではないでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q. 20代でも本当に更年期のような症状が出ることがあるのですか?
A. 更年期に似た不調が20代で起こることはあります。ただしその背景はさまざまで、卵巣の働きの低下によるものもあれば、ストレスや生活リズムの乱れ、ほかの病気によるものもあると考えられています。症状だけで原因を見分けることは難しいため、気になる状態が続くときは医療機関で確かめることがすすめられています。
Q. 「若年性更年期かもしれない」と感じたら、その後はどうなるのでしょうか?
A. 「若年性更年期」という言葉が指す状態は一つではないため、一律にお答えすることはできません。背景によって対応の考え方が変わりますし、経過も人によって異なります。まずは検査で状態を確かめたうえで、医師と一緒に方針を相談していく形になります。この記事で治療の効果を保証することはできませんが、選択肢を知ること自体が第一歩になります。
Q. 市販のサプリメントで様子を見てもいいでしょうか?
A. サプリメントは食品であり、病気の診断や治療を目的としたものではありません。とくに月経が長く止まっている場合は、原因を確かめないまま様子を見続けることで、必要な対応が遅れてしまう可能性があります。使用を考えている場合も、まず医療機関に相談したうえで、飲んでいるものを医師に伝えるようにしてください。
Q. 生理はきているのに更年期のような症状があります。どう考えればいいですか?
A. 月経がきていても、体調の波を感じることはあります。月経前の時期に不調が集中しているのか、天気の悪い日に強く出るのか、時期に関係なく続いているのか——記録をつけて振り返ると、傾向が見えてくることがあります。その記録をそのまま診察に持っていくと、話が進めやすくなります。
Q. 病院で「異常なし」と言われたら、どうすればいいですか?
A. 検査で大きな異常が見つからなくても、つらさがなくなるわけではありません。記録を続けて経過をみる、別の科に相談してみる、セカンドオピニオンを検討するなど、次の一手はいくつかあります。「異常なし=我慢するしかない」ではないことを、ぜひ覚えておいてください。
まとめ
この記事の要点を整理します。
- 「若年性更年期」は正式な医学用語ではなく、20代・30代で更年期に似た不調が出たときに便宜的に使われている言葉です。
- その背景には、40歳未満で卵巣の働きが低下する早発卵巣不全(POI)のほか、ストレス・睡眠不足・急激な体重減少・ほかの病気など、さまざまな可能性があると考えられています。
- 症状だけで原因を見分けることは難しく、若い世代ほど「確かめる」ことに意味があります。
- 月経の変化はいちばん大切な手がかりです。3か月以上止まっている場合は、年齢にかかわらず婦人科への相談がすすめられています。
- 2〜3か月分の記録があると、自分だけの不調の波が見えてきて、診察でも伝わりやすくなります。
不調の理由がわからない時間は、それだけで消耗するものです。「気のせい」で終わらせず、まずは記録から始めてみてください。書き残したものは、あなたの不調がたしかにそこにあったという証拠になります。
🌸 まずは今日の1タップから始めませんか|ゆらぎとわたし
今日の体調をひとつ記録するだけで、数週間後には「いつ、どんなときにつらくなりやすいか」という自分の傾向が見えてきます。月経の乱れも症状の強さも同じ画面にまとまるので、婦人科の診察では、そのまま医師に見せられる1枚として使えます。うまく言葉にできなくても大丈夫です。無料ではじめられます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。症状の感じ方や経過には個人差があります。症状が続く場合、急に強い症状が出た場合、月経が長く止まっている場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
【参考情報源】
・日本産婦人科医会「(2)早発卵巣不全(POI)」
・日本内分泌学会「早発卵巣不全」(一般の皆様へ)
・厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果(2022年)
・公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会
・日本女性医学学会

コメント