「更年期かもしれないと思って病院に行ったら、血液検査をすすめられた」「ホルモンの数値を測れば、更年期かどうかはっきりわかるのかな」——そんなふうに、検査について気になっている方は少なくありません。
ほてりや動悸、眠れない、なんとなくだるい。こうした不調が続いていても、「これくらいで病院に行っていいのかな」「検査って何をされるんだろう」と迷ってしまい、そのまま様子を見ている方も多いようです。厚生労働省が2022年に公表した「更年期症状・障害に関する意識調査」の基本集計結果では、40代女性で症状を自覚しながら医療機関を受診していない方の割合が81.7%にのぼると報告されています。受診をためらう理由のひとつに、「検査の内容がよくわからない」という不安があるのかもしれません。
この記事では、更年期の相談で行われることのある検査について、何を調べるのか、ホルモン検査でわかること・わからないこと、費用や保険の考え方、そして結果をどう受け止めればいいかを、やさしく整理してお伝えします。検査は「更年期かどうかを白黒つけるためのもの」というよりも、これからの相談をすすめるための手がかりのひとつ、と考えていただくとイメージしやすいかもしれません。
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更年期の検査では、どんなことを調べるのでしょうか

「更年期の検査」と聞くと、専用の検査があって、その数値で更年期かどうかが決まる——そんなイメージを持たれるかもしれません。けれども実際は、少し違った考え方をされることが一般的です。
更年期の判断は、検査の数値だけで決まるものではありません
更年期は、閉経をはさんだ前後およそ10年の時期を指す言葉で、女性ホルモン(エストロゲン)がゆらぎながら減っていくなかで、さまざまな不調が現れやすくなるとされています。この時期にあらわれる不調は人それぞれで、更年期の症状一覧で紹介しているように、体の症状から心の症状まで幅広いことが知られています。
医療機関では、年齢、月経の状況、いま困っている症状の内容や程度、これまでの経過などを総合的にみながら判断していくのが一般的です。血液検査の数値は、その判断を助ける材料のひとつという位置づけになります。「数値が基準を超えたら更年期」というような、単純な線引きがあるわけではない、と考えておくと安心かもしれません。
検査の大きな役割は「ほかの原因が隠れていないか」を確かめること
更年期の時期に出やすい不調は、実は別の病気の症状とよく似ていることがあります。たとえば、だるさや動悸、汗が出やすいといった症状は、甲状腺の働きの変化や貧血などでも起こりうるとされています。
そのため、検査には「ほかに手当てが必要な原因が隠れていないかを確かめる」という、とても大切な役割があります。もし別の原因が見つかれば、そちらに合った対応をとることができますし、見つからなければ「更年期の変化として考えていきましょう」と、次の相談に進みやすくなります。どちらの結果であっても、これからを考えるうえで意味のある情報になります。
ホルモン検査(血液検査)でわかること・わからないこと

更年期の相談でよく行われるのが、腕から少量の血液をとって調べる血液検査です。「ホルモン検査」と呼ばれるのは、この血液検査のなかでホルモンに関する項目を調べるものを指しています。
調べられることが多い項目
- エストラジオール(E2)……卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の一種です。更年期の時期には、この値が下がっていく傾向があるとされています。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)……脳から出て、卵巣にはたらきかけるホルモンです。卵巣のはたらきがゆるやかになると、脳がより多く指令を出そうとするため、値が高くなる傾向があると説明されることがあります。
- 黄体形成ホルモン(LH)……FSHと同じく脳から出るホルモンで、あわせて調べられることがあります。
これらの値をあわせてみることで、卵巣のはたらきがどのような状態にありそうかを推し量る手がかりになると考えられています。
数値だけでは判断しきれない理由
一方で、ホルモンの値には注意しておきたい点もあります。まだ月経がある時期は、ホルモンの値が月経周期のなかで大きく変動するため、測った日によって数値が違って見えることがあるとされています。「たまたま測った日の値」だけを見て、更年期かどうかを決めきることはむずかしい、というわけです。
また、数値の下がり方と、つらさの強さが必ずしも一致するとはかぎりません。数値としてはそれほど変化がなくても症状がつらい方もいれば、その逆の方もいらっしゃいます。検査の数値は、あなたのつらさを否定するものではありません。ここは、とても大切なところです。
ホルモン検査以外に行われることのある検査
相談の内容によっては、ホルモンの項目だけでなく、ほかの検査もあわせて行われることがあります。どこまで調べるかは症状や経過によって変わりますので、実際の内容は受診先の医師と相談することになります。
甲状腺のはたらきを調べる検査
甲状腺は、のどのあたりにある小さな臓器で、体の代謝に関わるホルモンを出しています。このはたらきが変化すると、だるさ、動悸、汗をかきやすい、気持ちが落ち着かないなど、更年期の不調とまぎらわしい症状が出ることがあるとされています。そのため、血液検査の項目に加えられることがあります。
貧血・肝機能・脂質・血糖などの一般的な項目
「疲れやすい」「立ちくらみがする」といった訴えがあるとき、貧血の有無を確認することがあります。また、更年期の時期以降は脂質(コレステロールなど)の値が変化しやすいともいわれており、これからの健康管理のために調べておく、という意味合いで案内されることもあります。
婦人科の診察・超音波検査など
月経の乱れや出血の状況によっては、子宮や卵巣の状態を確かめるために、内診や超音波(エコー)の検査がすすめられることがあります。「内診はちょっと緊張する」と感じる方も多いと思いますが、不安があれば遠慮せず伝えて大丈夫です。診察の流れや持ち物については、婦人科の初診で何を聞かれるかの記事でもくわしくご紹介しています。
検査を受けるタイミングと、当日の流れ

月経がまだある方は、タイミングを聞かれることがあります
先ほどふれたように、月経周期によってホルモンの値は変わりやすいとされています。そのため、「前回の月経はいつでしたか」「周期はどれくらいですか」と確認されたり、測る時期について案内があったりすることがあります。
ここで役に立つのが、月経の記録です。周期が乱れてくると記憶だけでたどるのはむずかしくなりますので、手帳やアプリに残しておくと、受付や問診の場面でスムーズに答えられます。
当日は、どんな流れになる?
医療機関によって違いはありますが、おおまかには「受付・問診票の記入 → 診察・お話 → 必要に応じて採血などの検査 → 後日または当日に結果の説明」という流れになることが多いようです。採血そのものは数分で終わることがほとんどです。
結果が出るまでの日数も医療機関によって異なり、その日のうちに説明が受けられることもあれば、後日あらためて来院して聞く形になることもあります。予約のときに確認しておくと、予定を立てやすくなります。
検査の費用は?健康保険は使えるの?
費用は多くの方が気にされるところだと思います。考え方としては、「気になる症状があって、その原因を調べるために行う検査」であれば健康保険の対象になることが一般的で、症状がなく健康チェックとして自分の希望で受ける場合は自費(自由診療)になる、と説明されることが多いようです。
実際の金額は、調べる項目の数、初診料・再診料、同じ日に行うほかの検査などによって変わります。医療機関が公開している費用の案内では、健康保険の3割負担でホルモンに関する項目に甲状腺の項目を加えたときに、おおむね1,500〜3,000円程度、さらに貧血や肝機能、脂質などの一般的な項目まで含めると2,000〜4,000円程度、という目安が示されていることがあります(操レディスホスピタル「女性ホルモン検査ガイド」)。ただしこれはあくまで一例で、実際の負担額は医療機関や検査内容によって異なります。
正確な金額を知りたいときは、受診を考えている医療機関に電話で「更年期の相談で受診したいのですが、検査をした場合の費用のめやすを教えてください」と聞いてみるのが確実です。検査のあとに考えることになる選択肢については、更年期の治療法の種類の記事もあわせてご覧ください。
検査結果を受け取ったとき、どう受け止めればいいでしょう
検査の結果を聞くときは、少し緊張するかもしれません。ここでは、受け止め方の3つの視点をお伝えします。
ひとつめは、「ホルモンの値が下がっていた」と言われた場合です。これは、体が新しい段階に移っていくなかで起こる自然な変化のあらわれと説明されることが多く、それ自体が病気を意味するわけではありません。そのうえで、いまのつらさをどうやわらげていくかを医師と相談していくことになります。選択肢としては、HRT(ホルモン補充療法)の基礎知識で紹介しているような方法や、漢方薬、生活面の工夫などが挙げられます。合う・合わないは人それぞれですので、疑問はその場で聞いてみてください。
ふたつめは、「ほかの原因が見つかった」場合です。意外に感じるかもしれませんが、これは「調べてよかった」ケースといえます。原因に合った対応をとることで、症状が落ち着いていくことも期待できます。
みっつめは、「検査では特に異常はありませんでした」と言われた場合です。ほっとする一方で、「じゃあ、このつらさは何なんだろう」と、かえって行き場のない気持ちになる方もいらっしゃいます。けれども、検査で数値に出ないことと、つらさがないことは、まったく別のことです。数値に表れにくい不調はたくさんあります。「異常なし」は「これ以上できることがない」という意味ではありませんので、症状が続くようなら、あらためて相談してみてください。
検査の前にしておくと役立つ「記録」のこと

ここまで見てきたように、更年期の相談では、検査の数値と同じくらい「どんな症状が、いつ、どのくらい出ているか」という情報が大切になります。ところが、診察室に入ると緊張してしまって、「なんとなく体調が悪くて……」としか言えなかった、という声はとても多く聞かれます。
そこでおすすめしたいのが、受診の前から症状を記録しておくことです。難しく考える必要はありません。次の3つがあるだけで、伝わり方がぐんと変わります。
- いつ……日付だけでも十分です。「先月の中ごろから」より「7月18日ごろから」のほうが伝わります。
- どんな症状が、どのくらい……「軽い・中くらい・つらい」の3段階でかまいません。
- 月経の状況……最終月経の日、周期の乱れ、量の変化など。
紙の手帳でもかまいませんし、続けやすさを重視するならアプリを使う方法もあります。書き方のコツは更年期の症状記録のつけ方で、いまの状態を点数で振り返る方法は更年期のセルフチェック(SMI)でくわしくご紹介しています。
厚生労働省スマート・ライフ・プロジェクトの調査『女性の更年期に関する意識の実態』では、閉経後5年以上で中等度以上の症状がある方のうち、約7割が周囲に相談したことがないという結果も報告されています。ひとりで抱えこまないためにも、まずは自分の状態を書き出してみることが、最初の一歩になるかもしれません。
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検査はどこで受けられる?何科に相談すればいい?
更年期の相談は、婦人科・産婦人科が中心になりますが、それだけではありません。「更年期外来」「女性外来」といった専門の窓口を設けている医療機関もありますし、動悸やだるさが強い場合は内科でまず調べてもらう、という進め方もあります。
大切なのは、通いやすさと、話しやすさです。相談は一度で終わらないことも多いので、「家や職場から行きやすいか」「予約が取りやすいか」「話をゆっくり聞いてもらえそうか」といった点も、選ぶときの目安になります。診療科の選び方については、更年期の不調は何科を受診すればいい?の記事でくわしくまとめています。
なお、つらい症状が長く続くとき、日常生活に支障が出ているとき、また、これまで経験したことのない強い症状が急にあらわれたときは、様子を見ずに早めに医療機関へご相談ください。とくに、突然の激しい頭痛や胸の痛み、息苦しさ、動けないほどのめまい、大量の出血などがある場合は、更年期の変化と決めつけずに受診されることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
ホルモン検査を受ければ、更年期かどうかはっきりわかりますか?
検査の数値は判断を助ける材料のひとつですが、それだけで決まるものではないとされています。年齢、月経の状況、症状の内容や経過などを、あわせてみていくのが一般的です。月経がまだある時期は数値が変動しやすいこともあり、「一度の検査で白黒つける」というよりは、これからの相談の手がかりと考えておくとよいかもしれません。
検査は痛いですか?時間はどれくらいかかりますか?
血液検査は、健康診断の採血と同じように腕から少量の血液をとるもので、採血そのものは数分で終わることがほとんどです。痛みの感じ方には個人差がありますが、「思っていたより早く終わった」という声も多く聞かれます。針が苦手な方は、その旨をスタッフに伝えておくと配慮してもらえることがあります。
検査を受けたら、必ず治療を始めなければいけませんか?
そんなことはありません。検査は「いまの状態を知る」ためのもので、その後どうするかは相談しながら決めていくことになります。しばらく様子をみる、生活面の工夫から始める、といった選択もあります。気になることがあれば、「まずは話だけ聞きたい」と伝えて大丈夫です。
何も症状がなくても、検査だけ受けられますか?
医療機関によっては、自費(自由診療)で受けられる場合があります。ただし、健康保険が使えるかどうかは症状の有無などによって変わってきますので、費用も含めて、事前に受診先へ問い合わせてみるのが確実です。
まとめ
更年期の検査について、ここまでの内容を振り返ります。
- 更年期の判断は、検査の数値だけで決まるものではなく、年齢・月経の状況・症状などを総合的にみていくのが一般的です。
- ホルモン検査では、エストラジオール(E2)やFSH、LHといった項目が調べられることがあります。ただし月経がある時期は値が変動しやすく、つらさの強さと数値が一致するとはかぎりません。
- 甲状腺や貧血など、まぎらわしい別の原因がないかを確かめる意味もあります。
- 症状があって原因を調べる検査は健康保険の対象になることが一般的です。金額は項目や医療機関によって異なるため、事前の問い合わせが確実です。
- 「異常なし」と言われても、つらさがなくなるわけではありません。症状が続くときは、あらためて相談してみてください。
- 受診の前に症状を記録しておくと、限られた診察時間でも状況を伝えやすくなります。
検査は、あなたを判定するためのものではなく、これからをラクにするための手がかりを集める作業です。ひとりで抱えこまず、気になることがあれば、どうぞ気軽に相談してみてください。
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今日から記録をつけはじめると、数週間後には「どんなときに不調が出やすいか」という自分の傾向が見えてきます。検査の結果とあわせて眺めれば、次の相談で聞きたいことも整理しやすくなります。ためた記録は、受診のときにそのまま医師へ見せられる1枚になります。無料ではじめられます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。検査の内容・費用・結果の解釈は、症状や医療機関によって異なります。症状が続く場合や気になる場合は、必ず医療機関にご相談ください。
【参考情報源】
・厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果(2022年)
・厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト『女性の更年期に関する意識の実態』調査
・日本女性医学学会
・公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会
・厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」
・操レディスホスピタル「女性ホルモン検査ガイド|何が分かる?保険適用は?」(費用の目安)

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