更年期のセルフケア総まとめ|今日から整えたい5つの生活習慣

窓辺のいすでお茶を飲みながら、穏やかにひと息ついている女性のイラスト

朝起きた瞬間から体が重い。夜中に何度も目が覚める。理由もなくイライラして、家族にきつい言い方をしてしまう。40代から50代にかけて、こうした「なんとなく不調」が重なってくると、「何をどう変えればいいのか分からない」と立ちすくんでしまう方が少なくありません。

インターネットで調べれば、運動がいい、大豆がいい、早く寝たほうがいい……とたくさんの情報が出てきます。けれど、全部を一度にやろうとすると続かず、「またできなかった」という気持ちだけが残ってしまいます。更年期の時期は、体力も気力もゆらいでいます。だからこそ、セルフケアは「たくさん・完璧に」ではなく、「少しずつ・自分に合うものだけ」を選ぶ発想が大切だと考えられています。

この記事では、更年期の生活で意識したいことを運動・睡眠・食事・入浴・ストレスという5つの視点に整理しました。どれも今日から小さく始められるものばかりです。あわせて、「その工夫が自分に合っているかどうか」を確かめるための記録のコツもご紹介します。無理なくできそうなところから、ひとつだけ選んで読んでみてください。

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目次

更年期のセルフケアは「治す」より「整える」

更年期は病気ではなく、閉経をはさんだ前後およそ10年間の、女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら減っていく時期を指します。この時期に現れるさまざまな不調は、ホルモンの変化に体が慣れていく過程で起こると考えられています。

ここで大切なのは、セルフケアはホルモンそのものを元に戻すものではない、ということです。生活の工夫でホルモン量をコントロールすることはできません。では意味がないのかというと、そうではありません。ホルモンの変化に加えて、睡眠不足・運動不足・冷え・ストレス・栄養の偏りといった要素が重なると、つらさがより強く感じられやすくなるとされています。セルフケアが働きかけられるのは、この「重なっている部分」です。

つまり目標は「更年期をなくすこと」ではなく、「ゆらぎの波を、少しだけなだらかにすること」。この考え方を持っておくと、思うような変化がすぐに出なくても、自分を責めずに続けやすくなります。

効果を焦らない — 変化はゆっくり現れるもの

生活習慣の見直しは、薬のように数時間で効き目を感じられるものではありません。一般的には、数週間から数か月という時間の中で「そういえば最近、前ほどつらくない日が増えた」と気づく形で変化が現れることが多いとされています。始めて3日で判断せず、少なくとも2〜4週間は淡々と続けてみるのがおすすめです。

「やらないこと」を決めるのもセルフケア

更年期の時期は、子どもの受験、親の介護、職場での責任など、担うものが増えやすい年代とも重なります。新しく何かを始めるだけでなく、今抱えている中から一時的に手放せるものを探すことも、立派なセルフケアです。「今年は年賀状をやめる」「作り置きはやめて惣菜を使う日をつくる」——そうした引き算が、いちばん効く方もいらっしゃいます。

セルフケアの効果を感じやすい人・タイミング

同じ工夫をしても、感じ方には個人差があります。一般的に、次のような場合はセルフケアの手ごたえを感じやすいと言われています。

  • 症状が軽度〜中等度の方:日常生活は送れているけれど、疲れやすさや不眠が気になる、という段階
  • 生活リズムが乱れている自覚がある方:夜更かしが続いている、運動から遠ざかっている、食事の時間がばらばら
  • 不調のきっかけに心当たりがある方:忙しい時期や天気が崩れる日に、決まってつらくなる
  • 治療とあわせて取り組む方:ホルモン補充療法や漢方を受けながら、土台として生活を整える

反対に、日常生活に支障が出るほど症状が強い場合や、急に激しい症状が現れた場合は、セルフケアで様子を見ようとせず、早めに医療機関へ相談してください。更年期と似た症状が、甲状腺の病気や貧血、心臓の不調などほかの原因で起きていることもあります。詳しくは更年期の不調は病院の何科に相談するかもあわせてご覧ください。

また、どんな症状が更年期に現れやすいのかを先に把握しておくと、自分の状態を整理しやすくなります。更年期の症状一覧で全体像をつかんでおくのもおすすめです。

①体を動かす — 「がんばらない運動」から

木立の遊歩道をスニーカーで散歩している女性のイラスト

運動は、更年期のセルフケアの中でもよく挙げられる項目です。体を動かすことで血のめぐりが促され、気分の切り替えにもつながると考えられています。また、閉経前後は骨や筋肉の量が変化しやすい時期でもあるため、体を動かす習慣を保っておくことには長い目で見た意味があるとされています。

まずは1日10分の歩行から

「運動」と聞くとジムやランニングを思い浮かべがちですが、更年期のセルフケアとしてはウォーキングのような、息が少し弾む程度の運動から始めるのが現実的です。一駅手前で降りる、買い物をまとめず2回に分ける、洗濯物を干す前に家のまわりを一周する——生活の中に紛れ込ませるほど続きやすくなります。

下半身の筋肉を使う動きを少しだけ

椅子から立ち上がる動きをゆっくり10回、台所に立っているあいだにかかとの上げ下げ。特別な道具も着替えもいりません。ひざや腰に痛みがある方は無理をせず、痛みが出ない範囲にとどめてください。関節のこわばりが気になる方は、更年期の関節痛・手のこわばりで紹介しているような、温めてから動かす順番を意識すると取り組みやすくなります。

のぼせやすい日は屋内で、涼しい時間に

ほてりや発汗が出やすい方は、真夏の日中や高温多湿の環境での運動は避け、朝夕の涼しい時間帯や空調のある室内を選びましょう。汗をかいた後に急に冷えると、かえってつらくなることがあります。着脱しやすい服装で調整するのがコツです。どんな運動から始めればよいか迷うときは、更年期におすすめの運動|ウォーキングと軽い筋トレで続けやすい方法を紹介しています。

②眠りを整える — 「寝る前1時間」がカギ

間接照明のやわらかな明かりのなか、静かな寝室で休んでいる様子のイラスト

更年期の時期は、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまうなど、睡眠のお悩みが増えやすいとされています。ホットフラッシュによる夜間の発汗で目が覚めてしまうケースもあります。

寝室の温度と寝具を見直す

夜間の発汗が気になる方は、吸湿性のよい寝具やパジャマを選び、掛けものを重ねすぎずすぐに1枚外せる状態にしておくと、目が覚めたときの対処が楽になります。室温は暑すぎず寒すぎず、自分が心地よいと感じる範囲に。

寝る前1時間はスマートフォンから距離を置く

寝る直前まで明るい画面を見ていると、眠りに入りにくくなることが知られています。手放すのが難しければ、「充電器をベッドから離れた場所に置く」といった物理的な工夫のほうが続きやすいことがあります。

眠れない夜は、無理に寝ようとしない

「早く寝なければ」と焦るほど、目がさえてしまうことがあります。20分ほど眠れないときは一度ベッドを出て、暗めの照明のもとで静かに過ごし、眠気が来てから戻る——という方法が紹介されることもあります。眠りの悩みが続くときは、更年期に眠れない不眠の原因とセルフケアもあわせて参考にしてください。日中の生活に支障が出るほど眠れない状態が続く場合は、我慢せず医療機関に相談しましょう。

③食事を整える — 「これだけ食べれば」はない

ごはん・味噌汁・焼き魚・豆腐・野菜など、バランスのよい和食の食卓を上から見たイラスト

更年期の食事について調べると、大豆イソフラボンやエクオールといった言葉をよく目にします。ただし、特定の食品やサプリメントが更年期症状を治すわけではありません。あくまで、日々の食事全体のバランスを整えるという視点で考えるのが基本とされています。

3食のリズムをできる範囲でそろえる

忙しいと朝食を抜いたり、夜遅くにまとめて食べたりしがちですが、食事の時間がばらばらだと生活リズム全体が乱れやすくなります。完璧を目指さず、「朝は必ず何か口にする」くらいの緩やかな目標から始めましょう。

たんぱく質とカルシウムを意識する

閉経前後は骨や筋肉の変化が起こりやすい時期とされているため、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを毎食どこかに入れる意識があると安心です。特別な食材をそろえる必要はなく、納豆や豆腐、しらす、ヨーグルトなど手に取りやすいもので十分です。

カフェイン・アルコールとの付き合い方

コーヒーやお酒は気分転換になる一方で、量やタイミングによっては眠りやほてりに影響することがあります。やめる・やめないの二択ではなく、「夕方以降は控えてみて、体調が変わるか見てみる」といった試し方が現実的です。栄養面のくわしい考え方は、更年期の食事のヒントで整理しています。

なお、サプリメントを検討する場合は、持病や服用中の薬との関係もあるため、自己判断で増やしすぎないことが大切です。市販薬・サプリの考え方もあわせてご確認ください。

④入浴と温活 — のぼせない範囲で温める

更年期の時期は、「上半身はのぼせるのに手足は冷たい」といった、冷えとほてりが同居する状態に悩まされる方もいらっしゃいます。血のめぐりを助けるという意味で、体を温めることは取り入れやすいセルフケアのひとつです。

ぬるめのお湯に、短めに

熱いお湯に長くつかると、のぼせや動悸につながることがあります。ぬるめと感じる温度で、体が温まったと思ったら早めに上がる。半身浴にする、途中で一度出る、といった調整も有効です。入浴中や入浴後の水分補給も忘れずに。

「温める場所」を絞る

全身を温めるとのぼせてしまう方は、首の後ろ・お腹まわり・足首など、部分的に温める方法が向いていることがあります。夏でも足首を出さない、薄手のストールを1枚持ち歩く、といった小さな工夫で過ごしやすくなることがあります。冷えとほてりが同時にある状態については、更年期の汗と冷え「冷えのぼせ」のケアでくわしく取り上げています。熱いお湯や長い入浴は、肌の乾燥につながることもあるとされています。かゆみが気になる方は更年期の肌の乾燥・かゆみとのつき合い方もあわせてご覧ください。

⑤ストレスとの距離をとる — 「がんばりの総量」を見直す

更年期の不調は、自律神経のはたらきとも関わりが深いと考えられています。緊張や気疲れが続くと、ほてり・動悸・不眠といった症状がより出やすくなると感じる方も少なくありません。

呼吸をゆっくりにする時間をつくる

特別な瞑想でなくてかまいません。信号待ちのあいだ、湯船の中、寝る前の1分。息を吐く時間を吸う時間より長くとるだけでも、気持ちが落ち着きやすいとされています。

ひとりで抱えない

厚生労働省スマート・ライフ・プロジェクトの調査(2026年)によると、閉経後5年以上で中等度以上(SMI51点以上)の症状がある方のうち、約7割が周囲に相談したことがないと報告されています。つらさを言葉にしにくいのは、あなただけではありません。まずは家族の誰かひとりに、「今、こういう時期でしんどい日がある」と伝えるだけでも、日常の風景は少し変わります。

気分の落ち込みが続くときは

気分の波は更年期に起こりやすい変化のひとつですが、落ち込みが2週間以上続く、何をしても楽しめない、といった状態が続く場合は、更年期以外の要因も考えられます。ひとりで判断せず、医療機関や相談窓口に頼ってください。気持ちのゆらぎについては、更年期のイライラ・落ち込みへの向き合い方もご覧ください。

記録・見える化のすすめ — 「合っているか」を確かめる

手帳に印をつけながら、となりのスマートフォンで体調の記録を見返している手元のイラスト

ここまで5つの視点をご紹介してきましたが、いちばん難しいのは「自分にどれが効いているのか分からない」という点ではないでしょうか。5つを同時に始めてしまうと、調子がよくなっても悪くなっても、原因が特定できません。

そこでおすすめしたいのが、ひとつずつ試して、体調を記録しながら見比べるという進め方です。たとえば「今週は寝る前のスマホをやめてみる」と決めて2週間続け、その間の睡眠の質や日中のだるさを記録しておく。すると、続けるかどうかを「なんとなく」ではなく、自分の記録をもとに判断できます。

記録する内容は多くなくてかまいません。次の3つがそろっていれば十分です。

  • その日の症状(つらかったもの・程度を3段階くらいで)
  • その日に試した工夫(歩いた/早く寝た/お風呂につかった など)
  • 特記事項(生理・天気・忙しさ・服薬 など)

手書きの手帳でも、スマートフォンのメモでもかまいません。続けやすい形を探すヒントは、更年期の症状記録のつけ方にまとめています。また、いまの状態を数値で把握しておくと変化が分かりやすくなるため、始める前に一度SMI(簡略更年期指数)によるセルフチェックをしておくのもおすすめです。

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気圧・天気との重なりも見ておく

「生活を整えているのに、どうしてもつらい日がある」——その背景に、天気の変化が関わっていることがあります。気圧が大きく下がるときに頭痛やだるさ、めまいを感じやすくなる方は少なくなく、更年期のゆらぎと重なるとつらさが強く感じられることがあると考えられています。

ここで大切なのは、天気のせいでつらい日を「セルフケアの失敗」と受け取らないことです。記録に天気や気圧の情報も一緒に残しておくと、「あの週は台風が続いていたから」と、自分を責めずに振り返れるようになります。

気圧との付き合い方については、気圧予報を体調管理に活かすコツでくわしく紹介しています。前もって「明日はつらくなりそう」と分かっていれば、その日は予定を詰め込まない、という備え方ができます。

受診の目安 — セルフケアだけで抱えないために

生活の工夫は大切ですが、それだけで乗り切ろうとする必要はありません。厚生労働省の意識調査(2022年)では、更年期症状を自覚していても医療機関を受診していない女性が、40代で81.7%にのぼると報告されています。「この程度で病院に行っていいのだろうか」とためらう方が、それだけ多いということです。

次のような場合は、セルフケアを続けながらでも、一度医療機関に相談することをおすすめします。

  • 仕事や家事、外出など日常生活に支障が出ている
  • 2〜3か月セルフケアを続けても、つらさが変わらない・強くなっている
  • 不正出血、経験のない強い頭痛、胸の痛み、息苦しさなど急な症状がある
  • 気分の落ち込みが2週間以上続いている
  • 更年期かどうか自体がはっきりせず、不安が続いている

相談先としては婦人科や更年期外来が一般的ですが、症状によっては内科などが適していることもあります。どこに行けばよいか迷ったときは、更年期外来・専門医の選び方が参考になります。診察の場では、記録を持参すると症状の経過を伝えやすくなります。閉経を迎えたあとに気にかけたいことについては、閉経後に起こる体の変化で骨や血管など部位ごとに整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 5つ全部を始めたほうが効果は高いですか?

A. かならずしもそうとは限りません。一度に多くを変えると負担が大きく、続かないことが多いためです。また、どれが自分に合っていたのかも分からなくなります。いちばん気になるものをひとつ選び、2〜4週間続けてみるところから始めるほうが、結果として長く続けられる方が多いようです。

Q. どのくらいで変化を感じられますか?

A. 個人差が大きく、はっきりした期間をお伝えすることはできません。数週間で「前より楽な日が増えた」と感じる方もいれば、季節をまたいでゆっくり変わっていく方もいらっしゃいます。日ごとの調子ではなく、週や月の単位で振り返ると変化に気づきやすくなります。

Q. 治療を受けていてもセルフケアは必要ですか?

A. ホルモン補充療法や漢方などの治療を受けている場合も、生活を整えることは土台として役立つと考えられています。ただし、治療の内容によって注意点が異なることもあるため、運動や食事について気になることがあれば、主治医に確認しておくと安心です。

Q. 忙しくて何もできる気がしません。

A. その状態自体が、いま余裕がないというサインかもしれません。新しく何かを足すのではなく、今やっていることをひとつ減らす方向から考えてみてください。「今日は座って5分ぼんやりする」でも、立派なセルフケアです。

Q. セルフケアで更年期症状は治りますか?

A. セルフケアは症状を治すことを目的としたものではなく、体調を整えて過ごしやすくすることを目指すものです。つらさが続く場合は、治療という選択肢もあります。ひとりで抱えず、医療機関に相談してください。

まとめ

更年期のセルフケアは、運動・睡眠・食事・入浴・ストレスという5つの視点から考えると整理しやすくなります。ただし、大切なのは全部をやりきることではありません。

  • セルフケアはホルモンを戻すものではなく、重なっている負担をやわらげるもの
  • ひとつずつ試し、2〜4週間は淡々と続けてみる
  • 体調を記録して、合っているかどうかを自分の記録で判断する
  • 天気の影響も一緒に見ておくと、自分を責めずに振り返れる
  • つらさが日常生活に響くときは、セルフケアだけで抱えず医療機関へ

できなかった日があってもかまいません。更年期は数年から10年ほど続くこともある、長い時期です。短距離走ではなく、長く付き合っていく前提で、ゆるやかに整えていきましょう。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。症状の感じ方には個人差があります。つらい症状が続く場合や、急に強い症状が現れた場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

【参考情報源】厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果(2022年)/厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト『女性の更年期に関する意識の実態』調査(2026年)/日本女性医学学会/公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会/厚生労働省 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ

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この記事を書いた人

更年期ゆらぎ記録アプリ「ゆらぎとわたし」の運営・編集担当。「不調の波を、ひとりで抱え込まない」を合言葉に、30〜50代の女性が自分の体調とやさしく向き合えるよう、記録・セルフチェック・気圧予報などの機能づくりと情報発信に取り組んでいます。医療の専門家ではありませんが、公的機関や学会の情報をもとに、受診の助けになる正確でやわらかい情報をお届けすることを大切にしています。

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